即位礼正殿の儀

 日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより皇位を継承いたしました。ここに「即位礼正殿の儀」を行い、即位を内外に宣明いたします。

 上皇陛下が三十年以上にわたる御在位の間、常に国民の幸せと世界の平和を願われ、いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その御心(みこころ)を御自身のお姿でお示しになってきたことに、改めて深く思いを致し、ここに、国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います。

 国民の叡智(えいち)とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします。

 正殿の儀には三権の長や、180余りの国と二つの国際機関からの賓客約400人を含め、国内外から約2000人が参列。皇嗣秋篠宮さまら男性皇族2人と女性皇族9人も出席した。

 夜には宮殿で祝宴「饗宴(きょうえん)の儀」が行われ、天皇、皇后両陛下が海外賓客らに即位を披露し、祝福を受ける。いずれも憲法上の国事行為である国の儀式。天皇専用の装束「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」を着た陛下が、皇位の証しとされる剣と璽(じ)などを持った侍従を従えて松の間に姿を見せ、後方の階段から高御座(たかみくら)に登壇。続いて十二単(ひとえ)姿の皇后さまが御帳台(みちょうだい)に上った。
 打楽器の「鉦(しょう)」の合図で参列者が立ち上がり、侍従と女官の手によってとばりが開くと、両陛下が姿を現した。高御座の「案」と呼ばれる台の上には剣と璽、国璽(国の印)、御璽(天皇の印)が置かれた。参列者が「鼓(こ)」の合図で礼をし、えんび服姿の首相が陛下の前に進んで一礼した後、陛下がお言葉を読み上げた。
  平成時の上皇さまのお言葉を踏襲しつつ「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら」などの文言を盛り込んだ。
  続いて首相が「一同こぞって心からお慶(よろこ)び申し上げます」と即位を祝う寿詞(よごと)を述べ、三歩下がって「ご即位を祝し、天皇陛下万歳」と発声。参列者も万歳三唱をした。
  とばりが閉じられた後、鉦の合図で参列者が着席。陛下に続き皇后さまが松の間から退出し、午後1時35分に儀式は終わった。
  正殿の儀は、天皇を「象徴」と定めた現行憲法下では2度目。首相が陛下から約1.3メートル低い位置で万歳三唱をするなど、儀式の根幹部分は前例をほぼ踏襲した。