ポリス・ストーリー・レジェンド

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 アジアが誇るスーパースター、ジャッキー・チェンが主演を務め、興行的にも大ヒットを記録した人気シリーズ『ポリス・ストーリー』の第6弾。仕事熱心なベテラン刑事と一人娘の確執を発端に、まるで要塞のようなナイトクラブに突如監禁された。娘を『7日間の恋人』などのジン・ティエンが演じ、クラブの経営者を『コネクテッド』などのリウ・イエが熱演。決死の肉弾戦はもとより、さまざまな因縁が絡み合う密室劇に絶句するが。

 古参刑事ジョン(ジャッキー・チェン)は、一人娘ミャオ(ジン・ティエン)に呼び出され、クリスマス時期の北京の繁華街へとやって来て。彼は指定のウー・バーに到着するが、そこは怪しげな雰囲気のナイトクラブだった。父娘は半年ぶりに対面し、ミャオはクラブの経営者で彼女よりかなり年長のウー(リウ・イエ)を恋人だと紹介するのだが。

   舞台は冬の北京。冒頭でジャッキーが涙をにじませ、銃口をこめかみにあてる。現場は閉ざされたバーの中。立てこもりの目的は何なのか。犯人はなぜジャッキーを狙ったのか。二人の過去に何があったのか。真相につながる事実を小出しで見せつつ、息詰まる交渉で観客を引っ張っていくなだが。娯楽アクションというより、重厚な心理劇の色彩が濃い作品となった。  

 香港で生まれた「ポリス・ストーリー」だが、今回は正真正銘の中国映画だ。監督もスタッフも共演者も大陸出身。劇中使われる言葉も北京語。敵役に中国の人気俳優リウ・イエ、監督に北京電影学院出身の新進監督ディン・シェンを迎え、中国の観客のため、中国で撮った作品といえよう。  

 香港からハリウッドへ、さらに中国へ。巨大市場に足場を移したジャッキーは現在、政府の諮問機関「全国政治協商会議」の委員も務め、香港や台湾では“中国寄り”のイメージが強まっている。インターネット上でも、今回の新作に「香港生まれの『ポリス・ストーリー』ではなく、中国の『公安物語』だろう」、「ジャッキーは香港の観客を捨てたのか」などと厳しい意見が並ぶ。  

 “俳優ジャッキー・チェン”の存在が、本人も御しがたく巨大化したのは事実だ。さらに加齢が重くのしかかる。すでに本格的なアクションからの引退を宣言したが、客が見に来るのは「動けるジャッキー」だ。出るからには動かざるを得ない。今回も監督の求めでアクションが増え、「だまされたよ」と嘆いたという。  アクションスターから演技派へ。事あるごとに“脱皮願望”を口にしてきたジャッキー。常に自分を高め、トップを走り続けながら、たどり着いた新境地だ。まだまだ続くと信じていますよ!