キャプテン・フィリップス

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 監督のポール・グリーングラスマット・デイモン主演の『ボーン・スプレマシー』『ボーン・アルティメイタム』の2本で、近年のアクション映画のフォーマットを一新してしまった革命児だが、同時に世界情勢を見据えた硬質な社会派監督としても知られた人物。特に911テロの実話を再現した『ユナイテッド93』や、イラク戦争の大量破壊兵器の捏造問題に斬り込んだ『グリーン・ゾーン』など、鋭利なメッセージで世間を揺さぶってきた。『キャプテン・フィリップス』も、ソマリアの海賊たちも一個の人間として描き、彼らが置かれている悲惨な状況を描くことも忘れないなど、世界全体を見据える視点を忘れていない。真摯でアツい人間ドラマであり、実話を元にした手に汗握る救出サスペンスであり、裏テーマとして格差社会が生む歪みをあぶり出す。まさにグリーングラス監督ならではの“オトナの見応え”を提供してくれる渾身作だ。

 

 

 

 

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 襲撃された“マースク・アラバマ号”に乗っていたクルーは20名。船に乗り込んだ海賊は4人。多勢に無勢のはずだが、海賊が持っている銃がパワーバランスを逆転させ、船員と観客に有無を言わせぬ恐怖を突きつける。しかし、その一方で重要なのが、この映画が海賊たちを含めた“群像ドラマ”であること。海賊行為は決して許されるものではないが、彼らには内戦に苦しみ、武装組織が村を牛耳り、貧困にあえぐ毎日から抜け出すためにカネを稼がなくてはならないのだ。一様にガリガリに痩せた海賊たちの身体が、なによりもイビツな世界の“真実”を物語っている。フィリップス船長、海賊たち、20人の船員、そしてアメリカ海軍、それぞれの事情が複雑に絡み合う多層的なドラマこそが、『キャプテン・フィリップス』の一筋縄ではいかない“感動”と“深み”を生み出している。

最後の遺書を書くところは、危機一髪という場面では最後だという苦しさを、もう限界だと言い残している・・・・・・

 

 トム・ハンクスの素晴らしさがよかったです! 最後の緊張感も感激しました。よかったですよ!